治療する側の経験から言うと、モントゴメリー腺の根っこは割と深く、最低でも乳輪の皮膚表面から3ミリ程度の深さにモントゴメリー腺の底部があると思います。
肥大したモントゴメリー腺となれば、より根深く、５ミリほどの深さになることもあります。
これは、「モントゴメリー腺の表面だけを蒸散しても、モントゴメリー腺自体は除去できない」という事実を裏付けます。

一方、皮膚には「ダメージが真皮の深層に及ぶと瘢痕を形成する」という性質があります。
分かりやすく言い替えると「皮膚の深い部分にダメージが及ぶと白い傷跡が残る」ということです。
転んでケガをしたとき、すり傷程度であれば跡形なく消えるのに、えぐれた様なケガだと、傷がふさがった後もぼこっと膨らんだ傷跡が残りますよね？
膨らんだ傷は、最初は赤みを帯びて硬いけれど、年余を経て白いフワフワした軟らかい傷跡に変化していきます。

これを踏まえ、「モントゴメリー腺の根っこまで蒸散した」場合、どうなるかということを考えます。
真皮深層に治療による侵襲が及ぶので、蒸散したモントゴメリー腺の大きさに応じた白い瘢痕が残ります。
そもそも乳輪には生理的な色素沈着が存在しますので、褐色を帯びた乳輪内に白い水玉模様に似た瘢痕が多数できる、という状態になる可能性があります。