三輪皮フ科形成外科

シミ、くすみ、肝斑について

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シミ、くすみ、肝斑について

皆さんに「シミ」と呼ばれている茶色い色素病変は、いくつかの種類に分類されます。 早速ですが、順番に見ていきましょう。

老人性色素斑

老人性色素斑
私たち診療する側が指すシミがコレです。 褐色の濃さや大きさは様々ですが、境目がはっきりしていて、色調が均一であることが特徴です。できたきっかけを覚えていないことがほとんどですが、よくよく話を聞いていると、“油が飛んだ”“ニキビがあった”など、引き金になるエピソードをお持ちの方がいらっしゃいます。

雀卵斑(そばかす)

雀卵斑(そばかす)
いわゆるソバカスです。 老人性色素斑(シミ)と組織学的には同じモノですが、半米粒大と小さめで、多発します。 目のすぐそばにも出るという、分布の特徴もあります。 遺伝的な背景があるので、出る人出ない人はあらかじめ決まっていると言えるシミです。 10代から目立ち始め、中年以降自然に目立たなくなる傾向があります。が、これを言うと…それまで待っていられません、とよく言われます。

肝斑

肝斑
今や、名前は有名ですね。頬骨上に、概ね左右対称に認めるシミです。 妊娠出産後に出現することが多い、とありますが、経験上、ほぼ全例で妊娠出産後に症状を自覚しています。ですので発症に女性ホルモンが関与していること自体は間違いないかと思います。組織学的には、シミやくすみと同じで、表皮にメラニンが沈着しています。 老化で目立たなくとも言われていますが、やはりこれを言うと…それまで待っていられません、と言われます。

後天性両側性太田母斑様色素斑(真皮メラノサイトーシス:ADM)

後天性両側性太田母斑様色素斑(真皮メラノサイトーシス:ADM)
半分アザの性格を持つと言われるシミです。 メラニンを作る細胞(メラノサイト)が、本来存在すべき表皮(の基底層)ではなく、真皮(皮膚の第二層)に存在してしまっているために、真皮の中でメラニンが作られてしまう、という疾患です。 経験上10代後半から症状をみとめる方が多いようです。

炎症後色素沈着

炎症後色素沈着
ケガやヤケドの後、しばらく茶色い色素沈着が残りますよね。 皮膚はダメージを受けるとメラニンを作ります。ケガやヤケドだけではなく、紫外線、アトピー性皮膚炎も炎症後色素沈着の原因になります。 日々の軽い摩擦や紫外線暴露により、メラニンが少しずつ積もっていき、気が付いた時にはどす黒いくすみになっていた、と思われる方からご相談を受けることが多いです。

メラニン

このように、大別すると5つに分類できますが、 実は、どのタイプのシミも、原因となる物質は同じ、「メラニン」です。

表皮と真皮の二層構造

皮膚は、表皮と真皮の二層構造になっています。
紫外線や外からの機械的刺激を受けることで、メラニンが表皮の基底層という部分で作られます。
子供の頃には、シミやくすみはなかったのに、大人になったら何故出てくるのか?…思いませんか?
理由は、(やっぱり)老化のため、なのです。
表皮の基底層で作られたメラニンが、いつまでも表皮内にこびりついて、出て行ってくれない状態がシミ・くすみです。

ターンオーバー

皮膚の表面を覆っている表皮の(新陳)代謝のことを、ターンオーバーと言います。 皮膚表面から0.2mmの深さで生まれた表皮の細胞は、後から生まれた若い細胞に押し上げられるようにして、表面にせり上がっていき、最終的には垢となって体外にポイポイっと捨てられていきます。 本来、作られたメラニンは、表皮のターンオーバーに乗っかって、角質(垢)と一緒に体外に捨てられていかなければなりません。 「ターンオーバーが遅くなる」ということは、つまり皮膚の一番表面にある組織の「入れ替わり」のスピードが遅くなる、ということを意味しています。 ターンオーバーにかかる日数は、10代では20日、20代で28日、30代で40日、40代で55日…と、年齢を重ねるごとに長くなっていきます。

老化により、皮膚のターンオーバー(表皮の新陳代謝)のサイクルが長くなったり、滞ったりすると、いつまでもメラニンは皮膚外に出ていくことができず、シミ・くすみとして残り続けることになるのです。
ですから、シミ・くすみの治療の大枠は、こびりついたメラニンを引き剥がす。
ターンオーバーを速めて、(角質と共に)メラニンをさっさと外に捨てさせる。
…ということになります。

先に述べた5つのシミのタイプは、それぞれ成り立ちや深さが異なるため、一括りにはできません。
当然、対処の仕方も変える必要があります。

当院での具体的な治療法です。
一人の方の顔に(1)~(5)の複数のシミが混在していることも多いため、
施術前の肌の診察と見極めが非常に重要となります。

  1. 老人性色素斑
    QスイッチYAGレーザー
    いわゆる“シミ打ち”です。
    威力は高く、高確率でシミを剥がすことができますが、照射後はご自宅で軟膏を塗ってテープを貼る処置が1~2週間要ります。
    フォトフェイシャルm22
    1回の効果はシミ打ちに劣りますが、ダウンタイムが少なく、軟膏テープ処置が不要です。

  2. 雀卵斑
    QスイッチYAGレーザー
    麻酔クリームを塗って、全てのソバカスにに対し、個別にレーザーを照射していきます。最も効果の高い方法ですが、ご自宅での軟膏テープ処置が要ります。
    フォトフェイシャルm22
    1回の効果はQスイッチYAGレーザー照射に劣りますが、ダウンタイムが少なく、軟膏テープ処置が不要です。

  3. 肝斑
    レーザートーニング
    YAGレーザーによるレーザートーニングです。 肝斑用の設定で緩めに照射します。
    サリチル酸マクロゴールピーリング
    ケミカルピーリングの中でも、ダメージが少なく効果の高いサリチル酸マクロゴールを使用します。 表皮のターンオーバーを促進させるために重要です。
    イオン導入
    メラニンの新陳代謝を促進させるためにトラネキサム酸と高濃度ビタミンCをイオン導入します。 サリチル酸マクロゴールピーリング同様、メラニン排出を促すために重要です。

  4. 後天性両側性太田母斑様色素斑(真皮メラノサイトーシス:ADM)
    QスイッチYAGレーザー
    このタイプのシミは、メラニンが真皮内に存在します。 組織学的には刺青と同様の扱いになりますので、老人性色素斑とは違う設定でのQスイッチレーザー照射による治療が必要となります。 テスト照射をしてから、広範囲の病変部に対し本格的にレーザーを照射することをお勧めしています。 照射後はご自宅で軟膏を塗ってテープを貼る処置が1~2週間要ります。

  5. 炎症後色素沈着
    フォトフェイシャルm22
    1回の効果は強くありませんが、ダウンタイムが少なく、軟膏テープ処置が不要です。
    レーザートーニング
    YAGレーザーによるレーザートーニングです。

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