三輪皮フ科形成外科

シワ(その1)

テーマはシワです。

紫外線や(擦るなど)機械的刺激にさらされているうち、皮膚のコラーゲンは減少していきます。

実際には、壊れて断裂したコラーゲンは修復されているのですが、

老化に伴い代謝が落ちると、

コラーゲンが壊れるスピードに、、コラーゲンが再生するスピードが追いつかないのです。

そのため、その “差額” が、目に見えるシワとして露わになってきます。

人は生まれた時より、重力に抗いながら生きています。

皮膚のあちこちでコラーゲンが断裂して減少すると、

そのうち、(頬など)その一画を支えきれなくなっていきます。

重力に負けて垂れ下がってくるワケです。

これが、タルミです。

(タルミの治療については、次回以降に譲り、今回はシワの治療についてお話します。)

治療上、シワを大きく3種類に分類します。

1つは、表情ジワ

2つ目は、乾燥ジワ

3つ目は、刻み込まれたシワ

表情ジワは眉間の縦ジワ額の横ジワに代表されるように、

ある表情をした時に限り現れるシワです。

人間の顔面の皮膚の下には、様々な表情を形作るための、表情筋が多種類存在します。

例えば・・・

・ しかめた表情を作る時 (眉間の縦ジワ)  眉毛の内側にあるスウ眉筋、鼻根筋

・ 驚いた表情を作る時 (額の横ジワ)  額にある前頭筋

・ 笑った表情を作る時 (目尻の「カラスの足跡」)  目の周りの眼輪筋

・ 不服そうな表情を作る時 (顎の「梅干」 )  口の周りの口輪筋

・・・というように対応しています。

これらの表情筋が不必要に動かなければ、

眉間や額の表情ジワはもう少し目立たなくなると思いませんか?

表情筋の動きを抑えて、表情ジワを目立たせなくさせるのが、ボツリヌストキシン注射によるシワ治療です。

ボツリヌストキシンは、ボツリヌス菌という細菌の毒素を精製して作った薬で、

大学病院の脳神経外科等でも、眼瞼痙攣の治療に使われています。

表情筋の動きが数ヶ月間抑制されることにより、眉間や額にシワが寄らなくなる のです。

効果は永続的なものではありません。

個人差はありますが、6ヶ月前後で効果が切れます。

(半年で効果が切れるのかぁ… と思われるかも知れませんが、個人的には永久に効果が続く方が恐いです。)

シワの注射前
↑眉間ボツリヌストキシン注射前。
シワの注射後
↑眉間ボツリヌストキシン注射後。力を入れても縦ジワが寄りません。

また、薬が効いている間シワが寄らなくなる、ということだけが、この治療による恩恵ではありません。

眉間や額にシワを寄せる原因は「クセ」です。

必要もないのにクセのため、無駄にシワを寄せている のです。

思い浮かべてみてください。

1日の中で、眉間や額にシワを寄せなければならないことって、そんなにありますか?

むしろ、シワを寄せなければならない場面って、ほとんどないですよね?

・・・にも関わらず、人は眉間や額にシワを寄せます。

実はみんな、必要もないのにクセでシワを寄せているのです。

 数ヶ月間、シワを寄せないことで、“不必要にシワを寄せるというクセ”が抜ける可能性が高いのです。

シワの注射前
↑額ボツリヌストキシン注射前。
二重瞼(埋没法)の注射前
↑額ボツリヌストキシン注射後。上を見ても横ジワが寄りません。

また、定期的にこの治療を受けることで、この先、シワが刻み込まれることを予防できます。

繰り返し同じところで皮膚が折れ曲がると、そこには“刻み込まれたシワ”ができてしまいます。

一度シワが刻み込まれてしまうと、これを修復するのに費用も時間もかかってしまいます。

刻み込まれたシワを治すためには、コラーゲンを増やす必要があるのですが、短期間でコラーゲンを増やす方法が存在しません。

従って“刻み込まれたシワ”を治すよりも、刻み込まれないように予防しつつ、シワが寄らないようにする方が、効率が良く、効果も高いのです

美容外科医が、シワのない眉間や額を目指す時に、最も強くこの治療をお勧めするのはこのためです。

また、ボツリヌストキシン注射によるシワ治療は、メスを使わず3分程度で終わります

効果が大きいだけでなく、非常に手軽であるということもメリットの一つです。

卵のような額を手に入れることも全く夢ではありません