三輪皮フ科形成外科

瘢痕拘縮形成術

腹部の瘢痕拘縮形成術。

 

消化器外科や産婦人科の領域の手術後に傷が残り、つっぱりによる痛みや、引きつれで体の伸展が妨げられるようになることがあります。

見た目の問題ではなく、ご本人にしか分からない苦痛があります。

傷跡のひきつれに限った話ではありませんが、人それぞれ、抱えている悩みを解消するために治療の相談にいらっしゃいます。

また、治療する側にも、高度な解剖学的知識と技術の練磨が必要であると考えています。

 

当手術を「変な手術」と感じたり、偏見をお持ちの方は、以下の記事を閲覧することをどうかご遠慮頂きますようお願い致します。

瘢痕拘縮形成術の術前
↑術前。

70歳代、男性。

20年以上前に胃切除されて以後、腹部の傷跡が残っています。

傷跡が残っているだけであれば大した問題にならないのですが、深刻なのは上体を反らすことができない、ということでした。

背中を後方に反らすと、腹の傷がつっぱって痛い・・・というより、つっぱってしまって反らすこと自体ができませんでした。

瘢痕拘縮形成術の術前
↑術前。

硬い傷跡(瘢痕)を取り除き、皮弁を起こして、瘢痕周囲の比較的余裕のある部分と、余裕のない部分を入れ替えます。

更に、意図的に縫合をジグザグに仕上げて、傷に掛かる緊張を分散します。

瘢痕拘縮形成術の術前
↑術前。赤 : つっぱる部分。黄 : 余裕のある部分。
瘢痕拘縮形成術の術後
↑術後。赤 : (少し)つっぱる部分。黄 : 余裕のある部分。

傷の上下方向のつっぱり感を逃がすために、傷の両横のタルミにつっぱり感を負担してもらうイメージです。

このお年で背中が伸ばせないというのは結構ツラかったと思います。

瘢痕拘縮形成術の術後
↑術後。

しかし、術後はちゃんと背中が反らせるようになりました。

瘢痕拘縮形成術の術前
↑術前。
瘢痕拘縮形成術の術後
↑術後。

※ 瘢痕拘縮形成術は保険適応です。

※ モニター募集はありません。

※ 症例写真は、患者様ご本人の快諾を得て供覧させて頂きました。

従って、モニター写真ではありません。